きくらげ屋コラム

2025/07/29 09:00

国産きくらげと中国産きくらげでは卸価格に大きな差があります。

まず、生きくらげ(生鮮)の場合、国産品は100gあたり約200~400円程度とやや高価で流通しており、収穫後すぐ使う必要があります。一方、中国産の生きくらげは日持ちの観点からほとんど輸入されず、市場に出回る中国産品は乾燥きくらげが中心です。

乾燥きくらげの卸価格を見ると、中国産品は大量輸入により低価格で、例えば中国産乾燥きくらげが100gあたり数百円(例:100g入り約390円~500g入り1,980円)で取引されるのに対し、国産乾燥きくらげは100gあたり900円前後(同250g入り3,780円~500g入り6,980円)と高値で推移しています。

一般に国産きくらげの価格は中国産の約3~4倍が目安であり、質の良さや安全性への評価、高まる国産需要を反映した金額設定になっています。



品質の比較:食感・安全性・栄養価など

国産品と中国産品では品質面でも次のような違いがあります。

  • 食感:国産きくらげは肉厚で、ぷりぷり・コリコリとした強い歯ごたえが特徴です。中国産きくらげは薄く、食感を楽しめるものの国産ほどの存在感はありません。

  • 安全性:中国産きくらげは過去に残留農薬基準超過の事例が報告されています(2007年に学校給食向け中国産きくらげから基準値の2倍超の農薬検出、2015年の調査でも基準超過検出)。一方で国産きくらげは生産環境の管理が行き届き、無農薬栽培も多いため安全性が高いとされます。食品の安全を重視するなら国産品が安心です。

  • 栄養価:キクラゲはいずれも食物繊維やビタミンDが豊富なヘルシー食材です。特に乾燥きくらげに含まれるビタミンD量は全食品の中でもトップクラスで、免疫力アップなど健康効果が期待できます。栄養価そのものは産地で大きく変わりません。

  • 見た目:国産きくらげは主にアラゲキクラゲという品種で、傘が大きく厚みがあり裏面の毛が多いのが特徴です。中国産は一般的なキクラゲ品種が多く、サイズが小ぶりで薄めの傾向があります(近年は中国産アラゲキクラゲも流通)。品種や栽培環境の違いも品質差の一因です。

コスト重視であれば安価に仕入れられる中国産乾燥きくらげに魅力があります。一方、国産きくらげは価格こそ高いものの、食感や風味の良さに加え生産履歴の明確さや安全性で優れています

仕入れ担当者は国産と中国産それぞれの特徴を踏まえ、価格と品質のバランスを考えて最適なきくらげを選びましょう。


参考資料 ・林野庁 「令和元年特用林産物生産統計調査・厚生労働省 「輸入食品等モニタリング計画(平成27年度)